こんにちは、酒類コンサルタントのナナです!
さて、今夜は何と乾杯しますか?
今日私がご紹介するのは、日本ワインを愛する者なら、その名前を聞くだけで胸が高鳴る造り手。「ドメーヌ・オヤマダ」の万力(まんりき)ロゼです。
リリースされるたびに瞬く間に姿を消し、手に入れること自体がひとつの「奇跡」と言われるこのワイン。そこには、造り手である小山田幸紀さんの、気が遠くなるような試行錯誤とブドウへの深い愛が詰まっていました。
1. 文学青年が「農民」になるまで:小山田幸紀氏の歩み
ドメーヌ・オヤマダを語る上で、小山田幸紀さんという人物の生き様を避けて通ることはできません。
福島県で育ち、大学ではドイツ文学を専攻。一見、農業とは無縁の世界にいた彼を突き動かしたのは、日本ワイン界の巨人・麻井宇介氏との出会いでした。その衝撃からワイン造りの世界へ飛び込み、名門「ルミエール」で16年もの間、栽培・醸造責任者として腕を磨きます。
驚くべきは、その当時のストイックさです。ワイナリーに勤務しながら、自らの畑の管理を並行して行い、休みは正月三が日のみ。そんな「根っからの仕事人間」である彼が2014年、ついに独立して立ち上げたのが、このドメーヌ・オヤマダなのです。
小山田さんは、思春期に尾崎豊や村上春樹、そして太宰治などの日本文学に深く心酔していたといいます。彼が掲げる「農民芸術の振興」というモットーは、単なる農業を超え、表現者として土壌と向き合う覚悟の表れ。 「ブドウのポテンシャルを追求し、いたずらにワインを汚さないこと」。その言葉通り、彼のワインには大地の声がそのまま閉じ込められたような、圧倒的な純粋さがあります。
「10年やってみても品種と土壌と醸造は試行錯誤。生きているうちに答えはでないかもしれません」
さらりとした語り口の裏にある、この気の遠くなるような探究心。これぞ、造り手の魂が宿る究極の一滴ですね! 私もこのお話を伺うたびに、ワインという液体の重みを再確認してしまいます。
2. 万力(まんりき)の地で描かれる「混植」の魔法
今回ご紹介する「万力」という名前は、山梨市にある南西向きの段々畑の地名から取られています。
万力ロゼ 2024 スペック
- タイプ: ロゼ
- 生産地: 日本/山梨県山梨市万力
- 生産者: ドメーヌ オヤマダ
- 品種: 甲州、プチマンサン、シュナンブラン(混植)
- 栽培方法: 合成農薬不使用、不耕起、草生栽培(自然な生態系を重視)
- アルコール度数: 11%
この畑の最大の特徴は、一枚の畑に異なる品種が混ざって植えられている「混植(フィールド・ブレンド)」という手法です。
通常、ワインは品種ごとに育ててから混ぜるのが一般的ですが、小山田さんは畑の段階から品種をミックスさせます。 「どの品種がこの土壌に最適か、答えが出るまで何十年、何百年とかかる」。その旅の過程として選ばれた甲州、プチマンサン、シュナンブランたちが、同じ太陽を浴び、同じ雨を受け、共に醸されることで、単一品種では決して出せない、複雑で力強い「土地の音」を奏でるのです。
3. 「ウスケ・ボーイズ」が繋ぐ、日本ワインの未来
小山田さんは現在、「ペイザナ農事組合法人」の一員として、志を共にする仲間たちと活動しています。 その根底にあるのは、故・麻井宇介氏が蒔いた「日本で本物のワインを造る」という種。
すべて自社畑のブドウを使い、余計なものを一切加えない正統派のヴァンナチュール。それは、伝統的な手法を守りつつ、日本という風土でしか成し得ない「芸術」を追求する、誇り高き挑戦そのものです。
4. テイスティングノート:繊細さとボリュームの共演
実際にこのワインを口に含むと、その生命力の強さに驚かされます。
まず広がるのは、ジューシーで弾けるような果実の凝縮感。 噛めるような密度の濃いブドウの旨みが押し寄せます。 しかし、決して重苦しくはありません。後口には優しく、それでいて確かなタンニンが全体を引き締め、繊細でエレガントな酸がすっと背筋を伸ばしてくれます。
この繊細さと骨太なボリュームのバランス……まさに、グラスの中で芸術が完成されているようです!
いわゆる「ナチュール」らしいピュアさを持ちながら、一切の雑味がないクリーンな仕上がり。小山田さんが仰る「ワインを汚さない」という哲学が、五感を通じて心に響いてきます。
5. ナナの提案:至福の一杯をさらに輝かせるために
この万力ロゼを飲むときは、ぜひ器にもこだわってみてください。 薄手のクリスタルグラスで香りの繊細さを拾うのも良し、あえて温かみのある作家物の平盃で、ブドウの力強さを味わうのも素敵です。
ペアリングには、山梨の恵みである川魚の塩焼きや、少し苦みのある山菜のフリットなどがおすすめ。素材の持つ「素朴で強い味」が、このワインの生命感と見事に共鳴します。
まとめ:知ればもっと、美味しくなる。
「万力ロゼ」は、単なる嗜好品ではありません。 文学を愛し、農業を信じ、山梨の土壌と対話し続ける小山田幸紀さんという一人の表現者が、一生をかけて挑んでいる「問い」そのものです。
その背景にある物語や、彼が目指す「農民芸術」の世界に想いを馳せて飲む一杯は、きっとあなたの心に深く、優しく刻まれるはず。
知ればもっと、美味しくなる。それが『ナナと一杯』の結論です!
皆さんの「心が震えた一本」を教えてください!
今回ご紹介したドメーヌ・オヤマダのように、飲むだけで造り手の顔が浮かぶようなワインに出会ったことはありますか? ぜひコメント欄で、皆さんの大切な一本のエピソードを聞かせてください。一緒に語り合いましょう!

