さて、今夜は何と乾杯しますか?
ワインの世界で「自然派(ヴァン・ナチュール)」という言葉を耳にすることが増えましたよね。でも、今回ご紹介するのは、その中でもさらに先を行く、まさに「究極」と呼ぶにふさわしいスパークリングワインです。
イタリア、トレンティーノ州の異才、ポイエル・エ・サンドリが8年もの歳月をかけて完成させた、『Zero Infinito(ゼロ・インフィニート)』。
このワインの名前に込められた、美しくもストイックな物語を、ソムリエの視点からさらに深く紐解いていきましょう。
1. 究極を証明する「6つのゼロ」の衝撃
このワインの最大の特徴は、徹底的な無添加(ゼロ)にあります。 「自然派」と名乗るワインは数あれど、実はオーガニック栽培で許容される「銅」や「硫黄」などの農薬や、瓶詰め時の微量な「酸化防止剤(亜硫酸塩)」は使用されていることがほとんど。
しかし、このゼロ・インフィニートは違います。
- 農薬ゼロ:畑に一切の化学的・有機的介入をしない。
- 酸化防止剤ゼロ:醸造から瓶詰めまで完全にSO2フリー。
- 酵母添加ゼロ:その土地に宿る野生酵母のみで発酵。
- 酵素・糖分添加ゼロ:補糖も行わず、ブドウの糖分のみ。
- 濾過ゼロ:旨味成分である澱(おり)もそのまま瓶内へ。
まさに「何も足さない、何も引かない」。 これ……造り手の情熱が五感にダイレクトに響いてきます!ここまで徹底して「ゼロ」を貫くことは、並大抵の努力、そしてブドウへの絶対的な信頼がなければ成し遂げられません。
2. 太陽の名を持つブドウ「ソラリス」の生命力
なぜ、これほどの「ゼロ」が可能なのか。その秘密は、「ソラリス」というハイブリッド品種にあります。 ラテン語で「太陽」を意味するこのブドウは、古代種を掛け合わせ、病害への圧倒的な耐性を持つように研究された品種です。
通常のナチュールワインでも、カビ対策として「ボルドー液」という殺菌剤を使うのが一般的ですが、ソラリスはそれすら必要としません。 「このブドウ、本当にすごいんです。人間が守らなくても、自らの力で太陽の恵みをボトルへと運んでくれるんですよ!」 その野生的な強さには、ただただ脱帽してしまいます。
3. 「田舎方式(メトド・アンセストラル)」が紡ぐ、自然な泡の魔法
醸造方法もまた、古代の知恵を現代に蘇らせた神秘的なものです。 アルコール発酵が終わる前にボトリングし、ボトルの中で残りの発酵を完結させる「メトド・アンセストラル(別名:田舎方式)」。
瓶の中で自然に発生した二酸化炭素が、ワインを酸化から守るバリアとなってくれます。機械的なガス注入ではなく、ブドウ自らが作り出した泡。その一粒一粒に、北イタリアの生命力が宿っています。
4. トレンティーノの冷涼なテロワールを映す鏡
産地であるトレンティーノ州は、州の70%が森林という、まさに「山の国」。 州を南北に流れるアディジェ川と、その両側にそびえ立つ世界遺産ドロミーティ山塊。
この地のスパークリングは「山のスパークリング」と呼ばれ、切り立った岩山を思わせるシャープな酸と、清らかなミネラルが特徴です。ゼロ・インフィニートの「無垢な味わい」は、この清冽な環境があってこそ誕生したのです。
ナナのテイスティング・メモ
グラスに注ぐと、無濾過ゆえの柔らかな濁りがあり、まるで搾りたての果実をそのまま閉じ込めたかのよう。
今回は、あえてシュッとしたシャンパングラスで楽しみました。 「このお酒には、この器。この出会いは、まさに運命ですね!」 細身のシャンパングラスの中で、繊細な気泡が美しく立ち上り、濁りのある黄金色が宝石のように輝きます。
口に含んだ瞬間、「あっさりとした酸味がスーッと通り抜け、まるで搾りたてのレモンジュースのような爽やかさ!」 しかし、そのままゆっくりと舌の上で転がすと、ブドウ本来のコクとテロワールのパワーがじわじわと押し寄せます。最後には、黄金色の夕陽を眺めているような、深く温かい余韻が広がります。
結びに
「Zero(ゼロ)」=余計なものを削ぎ落とした純粋さ。 「Infinito(インフィニート)」=自然のサイクルが続く無限の可能性。
このワインを飲むことは、人間がコントロールする「商品」を飲むのではなく、トレンティーノの「自然」そのものを体内に取り入れる体験です。
知ればもっと、美味しくなる。それが『ナナと一杯』の結論です!
皆さんの感想を募集中!
「ゼロ・インフィニート」の濁りと泡のハーモニー、皆さんも体験してみたくなりましたか? 「シャンパングラスで飲むのが好き!」「私はあえて湯呑みで楽しんでみたい!」など、皆さんの自由な楽しみ方をぜひコメント欄で教えてくださいね♪

