こんにちは!酒類コンサルタントのナナです。
皆さんは「北海道の日本酒」と聞いて、どんなイメージを持っていますか? 「北海道はビールやワイン、ウイスキーのイメージが強いけど、日本酒はあんまり……?」なんて思っている方も、もしかしたら多いかもしれません。
でも、その常識は今、塗り替えられようとしています! 今回は、私が北海道の日本酒にどっぷりハマるきっかけをくれた、情熱あふれる蔵元さんをご紹介します。
さて、今夜は何と乾杯しますか?
なぜ北海道で日本酒造りは難しかったの?
北海道ってあんなに大地が広くて、美味しい農作物の宝庫なのに、なぜ日本酒のイメージが薄かったのでしょうか?
実は、そこには切実な理由があったんです。 通常、日本酒造りでは「お米を作る農家さん」と「お酒を造る蔵元さん」が分かれていることが一般的。酒米の王様「山田錦」は兵庫県産、「五百万石」は富山県産……といったように、本州からお米を運んでくる必要があります。
でも、北海道へお米を運ぶには膨大な輸送費がかかります。そして出来上がったお酒をまた本州へ送るのにもコストがかかる。これでは、どんなに美味しいお酒ができても、価格がかなり高くなってしまう……。これが、北海道で日本酒生産が多くなかった大きな理由の一つなんです。
「じゃあ、北海道で山田錦を作ればいいじゃない!」と思うかもしれませんが、あのお米、実は寒さに弱くて北海道での栽培はとっても難しいんです(最近はトライしている農家さんもいらっしゃいますが、ナナ的にはまだまだ見かける機会が少ないかな……)。
救世主は「北海道産」の酒米!
そんな状況を大きく変えたのは、北海道オリジナルの酒米たちの進化でした。 「吟風(ぎんぷう)」「きたしずく」「彗星(すいせい)」。
これらの名前、最近よく見かけませんか? 実は今、北海道の酒蔵さんだけでなく、福井の「黒龍」や青森の「田酒」といった全国屈指の有名蔵でも、北海道産の酒米が選ばれているんです!
国をも動かした「地方創生蔵」上川大雪酒造
そんな北海道の日本酒シーンにおいて、今もっとも注目されているのが「上川大雪酒造(かみかわたいせつ)」です。
私も先日『北の酒蔵よ よみがえれ!』という本を読んだのですが、その誕生ストーリーがもう……震えるほど熱いんです! なんと、休止していた三重県の酒造免許を買い取って北海道へ移転させるという、前代未聞のやり方で蔵を立ち上げたんです。
そこまでして、多大な苦労を払ってまで北海道にお酒を運んでいった。 あぁ、思い出すだけで胸が熱くなります……! まさに地方創生にかける並外れた情熱ですよね。
魔法の言葉「飲まさる酒」
上川大雪が目指しているのは、ズバリ「飲まさる酒」。 「飲まさる」とは、北海道弁で「ついつい飲み進めてしまう」「勝手に杯が進んでしまう」という意味。
確かに、上川大雪のお酒を飲むと、するすると杯が進んで止まらなくなっちゃうんです!
本日の1杯:上川大雪 吟風 山廃酛 五割磨き
今回私がいただいたのは、こちら。
上川大雪 吟風 山廃酛 五割磨き (720ml / 税込 4,400円)
これがもう、驚きの連続でした! 「山廃(やまはい)酛」という昔ながらの手間のかかる手法に加えて、「白麹」というクエン酸をたっぷり出す麹で造られているんです。
通常の日本酒はほとんどが「黄麹」を使いますが、白麹を使うことで生まれる独特の酸味。 山廃といえば「黄色くて、お米の旨味がどっしりしていて、お燗が美味しい」というイメージがあるかもしれませんが、これはまさに「ニュー山廃」!
うーん、これはまさに五感を揺さぶる至福の一滴です! 山廃はちょっと苦手かも……と思っている人にこそ飲んでほしい!たぶん、山廃って気づかないと思います(笑)。
ナナのテイスティング・メモ
- 味わい: とろりとした旨味と、フレッシュな果実感。
- 余韻: シャープできれいな酸が全体をまとめてくれる。
まさに究極の「飲まさる酒」です!
組み合わせるなら?
このシャープな酸と旨味のバランスには、やっぱり美味しい器も添えたいところ。
「お酒の個性を引き出す器選び、これも楽しみのひとつですよね。」 お気に入りのグラス(私のマイブームはSHUWAN)で、ゆっくりと温度変化を楽しみながら味わうのがナナ流です。
おわりに
上川大雪酒造さんは、大学の中に蔵を作ったり、函館に新しい拠点を作ったりと、もっともっと語りたいことが多いんです! 次回はさらに細かく、その魅力を深掘りしていきたいと思います。
北海道の情熱が詰まった「飲まさる酒」、あなたも体感してみませんか?
知ればもっと、美味しくなる。それが「ナナと一杯」の結論です!
【読者の皆さんへ】 北海道の日本酒、皆さんは飲んだことありますか?「北海道のお酒、これと合わせるのが好き!」といったおすすめのペアリングがあれば、ぜひコメント欄で教えてください!

